▶︎特集「受験」
今週から、青春基地は「受験」特集はじめてみます。
中高時代では、なにより気がかりなこのテーマ。不安の渦を巻き起こす「受験」という不思議な試練を、いろんな角度から見てみたいと思います。今日からは、青春基地の大学生スタッフによるエッセイを連続して届けます。
| 大学受験のその先に
「ごめんなさい、大学受験してないのに慶応にいて」
大学に入ってからいつもそう思っていた。
私は内部進学生。
最後に受験したのは小学6年生のとき。私の大学進学は、周りの友達が話す大学受験の話とは、比べ物にならないくらい楽だった。
おまけに、元々すごく頭がよかったわけでもない。中学受験の模試では合格率はずーっと一番下の10%以下。自分を含めて誰も受かるとは思っておらず、たまたま家の近くで偏差値の高い学校があるから受けてみよう、そんな軽い気持ちで受験した。しかし、どういうことか当日うまくいって受かってしまったのだ。
中学に受かったときも、すごい嬉しかった訳でもなく、地元の友達と違う中学に行くんだな、とむしろがっかりしていた。
中学の友達はみんな頭がよかった。勉強しても、私のがんばりなんて意味がないんじゃないかって思えるくらいで、成績はずっと低いままだった。
「私が受かったのはラッキーだったから。
本当はここに入れる実力なんてない。」
とずっと思っていた。
そのまま私は大学に入り、さらに頭のいい人たちにかこまれてしまう。
「高校の時に表彰された。」
「東大にいきたかった。」
「模試で県で1位だった。」
英検2級でひいひいしてたなんて話したらバカにされてしまうと本気で焦った。
そして中高のときのように、やっぱりラッキーで大学に入れてしまった私は場違いなのだと思ってしまっていた。
でも最近、それは違うと気づいた。
入学してしまえば、みんなおんなじだ。
AO入試ですごい特技を持っている人、高校の時から何か活動をしていて実績がある人、高校の模試で県で1位をとった人、留学経験があって英語がペラペラな人。そんな人が沢山いた。
1年生の頃の私は勝手に周りの人を、「自分とは違う」と決めつけていたのかもしれない。
でも大学に入ってしまえば、あれだけ違うと思っていた彼らの中にも課題を出し忘れて単位を落とす人、やりたいことがわかんなくなってしまう人、ただ遊ぶだけの人になる人もいる。
大学は自分のやりたいことが、
一番自由にできる場所。
自由なここが、私は1番好きだ。
最初、すごい人たちに囲まれて勝手に肩身がせまいと思っていたけれど、その人たちから沢山の刺激を受けて、自分から勉強したいものをみつけることができた。今まで勉強が嫌いでやらされるものだと思っていたから、大進歩だ。
今私は「メディア」について勉強している。
サークルのメンバーと、インドで児童労働について勉強しにいった。福島に行って、避難先から帰ってきた人たちに取材して、映像をつくった。群馬県に取材に行って、初めて難民の方と話した。大学に入るまで、こんなに自分がいろんな場所に行けるなんて思っていなかった。
これからもっと色々なところに行って、発信をしたい。
いろんな人に会って、やりたいことにいろいろ手を出しまくって、迷惑をかけながらだけど助けてもらいながらやりたいことを頑張れている。
自分のやりたいことを目一杯できる場所。
大学受験の先にはそんな世界がきっと広がっている。
大学二年生 坂井奈津子
▶︎18歳のわたし
部活しかしてないパワー系JKでした。笑
▶︎特集「受験」エッセイ
第一話:わたしの人生、だれのもの?
第二話:孤独との戦い方について
第三話:人生の登竜門
第四話:ぼくの前から消えない境界線
第五話:擦れた受験体験記
第六話:大学受験のその先に
第七話:道しるべにする