「道しるべにする」#特集 #受験 #エッセイ

2017年2月24日

 
 
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▶︎特集「受験」

今週は、青春基地、「受験」特集はじめてみました。
中高時代では、なにより気がかりなこのテーマ。不安の渦を巻き起こす「受験」という不思議な試練を、いろんな角度から見てみたいと思います。今日からは、青春基地の大学生スタッフによるエッセイを連続して届けます。
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| 道しるべにする

 
 
成功したとは言えない私の大学受験でしたが、今はどう捉えているのかについて書いてみました。受験に失敗したと思っている中高生がいたら是非読んでみてほしいです。
 
 

1. とりあえず勉強する日々

 
私の高校は広島県内でも随一の進学校。
みんな大学受験をするのが当たり前。
塾に通い、模試や試験でいい点数を取るのが正義でした。
 
勉強をしていれば誰にも怒られないし、いいねと褒められる毎日。だから、いい成績をとること以外に大事なことはないだろうと疑いもしないで、先生に言われた課題を言われた日までに、言われた通りにやる。勉強ができないだけで若干周りからの評価が下がり、反対に勉強ができるだけで、ちょっと一目置かれるみたいな環境です。
 
そんな中で、当たり前のように、「とりあえず時間ができたら勉強する」という日々を過ごしていました。
 
 

2. 指定校推薦に申し込めた!なのに…

 
勉強を続けていたら、東京にある某有名私立大学の商学部の指定校推薦に申し込みができる評定平均を超えていました。私立でも特に問題なかったので、そのまま申し込むことに。
 
高3の7月、口笛を吹いて浮かれている女子高生がいたら、それは私ですね。ビジネスにつながる勉強を早くしたかったので、夏休みは、受験には使わないけれど、経済学に必要な数学やビジネスの知識に直接つながる政治経済の勉強をやっていました。
 
そして忘れもしない、2013年9月の第1火曜日。
電話の音。
担任の声。
指定校推薦の結果だ。期待と不安が入り混じるどこにも落ち着かない気持ち。その奥に聞こえた声は、
 
「残念だけど・・・」
 
学内選考で落とされました。
まさか、評定が自分より良い人がいるとは。というか、それ、申し込みの時点でわかるはずじゃん。
なんで今さら「落ちた」って言われなきゃいけないんだ。目の前が真っ暗とはこのことかと思いました。
文字どおり絶望。全部どうでもいい。
そう思って先生や学校を恨みました。
 
 
 

3. どこかにひっかかればいいや

 
普通に受験しなきゃいけないことになったのに、夏休みをそんなつもりで過ごしていない私は、ずるずると無力感を引きずっていました。
 
もう9月。どうしようもない。
どうあがいても無駄に過ごしたあの日々は戻ってこないんだ。なんで最初から他に評定良い人がいるって言ってくれなかったんだろう。どの大学に行きたいとか、どの学部がいいとか、そんなことを考えている余裕はありませんでした。
 
でもとりあえずビジネスの勉強はしたい。
東京に行って実家から出られて商学部っぽいところならどこでもいい。早く決まって終わって欲しい。頭の中はそれだけです。模試の志望校も東京の商学部系を偏差値上から順に書きました。どこでもよかったんです。結局最後の最後まで、どこかにひっかかれば、それでいいという気持ちでした。
 
 
 

4. 受験勉強は無意味だとしか思えなくて…

 
ビジネスの勉強をしたかったか理由は、中3の時に読んだ「もしドラ」に影響を受けてずっと経営やマーケティングに興味を持っていたからです。
 
だから受験勉強なんてしないで、会計やら経営戦略やらを今すぐにでも学びたかった。
でも大学でそういう勉強をするためには、今は受験のための勉強をしなきゃいけない。なんだこれは。こんなにやりたい勉強があるのに、なんでこんな古文とかよくわかんない勉強をしないといけないんだ。
センター試験だって、もう5年後にはなくなる、これからの社会には必要ないと判断された試験をやらなきゃいけないなんて。そうやって嫌々ながらに仕方なく勉強を進める日々でした。
 
指定校推薦落選で一気にやる気を削がれた私は、受験が差し迫った時期になっても、今さら勉強しても無駄だとしか思えない。
焦りもせず楽観もせず、なあなあに試験当日を迎えて、入りたいはずの大学もぼーっとしたまま受験。
 
結局受かったのは、第六希望と第七希望の大学だけでした。浪人してまで入りたい大学も更々なく、2校のうち、偏差値の高い方の私立大学商学部へ入学することにしたわけです。
 
 
 

5. だめだめすぎた受験期だったけど

 
正直辛い受験期でした。
当然通るものだと思っていた指定校推薦に、何の前触れもなく急に「ダメでした」って言われたものだから、全く立ち直れず。よくそれで、みんなの前で平気な顔をしていられたと思います。
 
違うんです。誰にも弱音は吐かない一方で、二日にいっぺんは自分のベッドで布団かぶっておいおいと息を殺して泣いていたので、全然平気じゃありませんでした。人生で始めての大きな挫折でした。
 
しかし実は後日談があります。
だめだめだった自分なのですが、『まんがでわかる7つの習慣』という本に出会ったのです。
それまで学校や先生のせいにして生きていた自分とはあまりに真逆なその本の内容に衝撃を受けて、心を入れ替えました。
 
大学生になって、毎日4時に起きて朝ごはん食べて、1限の前に簿記の勉強。人付き合いもスムーズで毎日が生き生き、というありえないくらいの生活の向上。さらに、受験期の悔しさが教育問題への関心に変わって、今こうやって青春基地に関われている。
 
まさに受験期にうまくいかないことがあったからこそ、本の内容に感銘を受けることができたり、受験を含めた教育システムに疑問を持つことができたりしたのです。

 
 

5. ラスト

 
私にとって受験期は、自分を知る時間でした。
人生であとにも先にもない時間だからこそ、集中できない自分にもどかしくなったり、意外と頑張れる自分に誇らしくなったり。いろんな自分が嫌でも見えてきます。
 
先生たちには一喜一憂するなと言われるけれど、感情が動かされることが、たくさんあるはずです。推薦決まって遊んでいる人はめちゃくちゃ羨ましかったけど、自分で考えて、感じて、選んだことは、今になって思い出すことが多いです。
 
受験で苦しめなんて言いません。
そりゃ楽しいほうがいい。
だけど、多感な時期にいろんなことを考えなくちゃいけない、いろんなことをやらなくちゃいけないという中で、自分は苦しいときにどうなるか、やる気がないとき、どうモチベーションを上げられるのか、性質が出てきます。
なにかに直面するたびに自分を知ることは、今後生きて行くにあたっての<道しるべ>になるのではないでしょうか。
 
あのとき自分はああだった。
今はどうだろう。
同じかな、違うかなと。
 
だから、あなたもどうかいろんな時間を過ごしていろいろ感じてください。そして、あれはいい経験だったと言える人生を進んでいってください。
 
受験に成功しただの失敗しただの、それは「事実」にすぎなくて、受験という経験をこれからの自分の人生にどう活かしていけるのか、そこが大事なのだと思います。
どんな結果であれ、そのあとの自分次第で、受験期の時間の意味はどんな風にも変えていけます。
 
 
未知の自分に出会うことは少しだけ怖い。
だけど、いろんな自分に出会えたら、これから先も続く自分の人生に道しるべができて、進む道を明るく照らしてくれるはず。そう思えたら、一歩進むための勇気につながると私は信じています。
 
 
大学三年生 まりな
 
 
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▶︎18歳のわたし

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感想をおくる
 
 
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▶︎特集「受験」エッセイ

 
第一話:わたしの人生、だれのもの?
第二話:孤独との戦い方について
第三話:人生の登竜門
第四話:ぼくの前から消えない境界線
第五話:擦れた受験体験記
第六話:大学受験のその先に
第七話:道しるべにする
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▶︎特集「受験」まとめ記事

第一弾:センター試験珍問題集 社会編 #特集
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まりな

大学3年生。事務局スタッフです。カフェ巡りが趣味です。