一番青春している文化祭はどこだ?文化祭で起業した女子高生社長へインタビュー@品川女子学院

2016年11月29日

秋といえば、文化祭シーズンですね!
夜遅くまで準備して、いつもと違う校舎の空気にそわそわしたり、全然クラスの出店が決まらずに喧嘩したり、一番安いTシャツの業者調べたり、、、みなさんは今、まさに、その渦中でしょうか!!いいですね・・・!
 
ということで青春基地は、とある女子高を突撃!!それは・・・!
 
「品川女子学院」!!!!
一言でいえば、高校1、2年生は全員が、「起業」する文化祭です。
「イケイケすぎて、、」というあなたへ、まずは説明しましょう(笑)
 
品川女子学院、通称「品女(しなじょ)」は、中高一貫校の女子高。文部科学省からスーパーグローバルハイスクールに指定されています。
 
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その高校改革で生まれた、高校の目玉カリキュラムが、この「企業体験プログラム」。高校1年生になると、文化祭期間を使ってクラスとで経営を学んだり、プレゼンをしたり、学園祭で本気の起業します。
今回は、その一つの教室を覗いてみました。
 
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座るところもないくらい、大反響!アイスクリームを売っているみたいです!
一見、普通の学園祭のようですが・・・。
 
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すごい!教室に入れば、「LGBT」の文字だらけ。
 
☞LGBTとは:レズビアン、ゲイなど性的マイノリティーの総称です。最近では、同性婚が認められないなどの法的差別、あるいは、学校や職場などでのいじめや、日常生活での困難などの精神的差別を問題視し、性に対する多様性を認めようとする動きが高まっています。
 
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そして、入り口すぐにありました。
かわいいけど、これ、企業理念です(笑)
どうやらこの教室は、「株式会社カラフル☆のんちゃん」のみなさんの出店。企業理念は、「個性豊かな品女でLGBTという個性をもつ人を応援する」だそうです。
 
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なるほど、LGBTにちなんでアイスクリームもレインボーが人気みたいです。
これは、かわいい!
午前中の取材に取材にもかかわらず「もう完売しちゃった!!汗」と焦る社員(女子高生)たちの声が聞こえてきました。
 
というわけで、我々編集部は、社長を捕まえてインタビューしてみました。
 

「女子校って、レズとか本当にいんの!?」という、あるあるから気づいたLGBTの課題。

 
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編:・・・あの、忙しいところすみません!インタビューしていいですか。
 
社長:はい!!!!(あたふた)
 
編:早速ですが、なんでLGBTを取り上げようと思ったんですか?
 
社長:もし自分の友達が女子校に通っていたら、みなさん例えばどんなことを聞きますか?
ほんとに毎回のように言われるのが「え、女子校ってレズって本当にいんのー?」って質問なんです。
 
編:あーたしかになあ!定番のあるある、かもしれないね。
 
社長:そうなんです。でもこの質問、実は背後にレズビアンに対する否定的な気持ちがあると思いませんか?差別的な意識というか。
言われた私たちは、あんまりいい気持ちがしなくて。だから、レズビアンに限らず、LGBTについてもっと多くの人に知ってもらいたいと思いました。
 
編:へえ〜。LGBTというテーマに取り組んでみてどうですか?
 
社長:私もこれまで2人くらいLGBTの方に会ったことがありましたが、正直マイナスのイメージがあった。それは変わった気がします。
実際にLGBTの方に、教室に来てもらってお話してもらったのですが、「トイレとか、更衣室がとても困る」と言われたのが印象的でした。女子だと思っているのに、なんで男子更衣室で着替えなくちゃいけないんだとか。
自分たちでは考えられないような辛さがあるのだと思います。
 

「今回の起業、9月の放課後を返上して、頑張りました。」

 
編:この、いつから起業は始まったんですか?
 
社長:4月からです。
 
編:長!!!すごい!!文化祭に半年もかけたてきたんだ!
 
社長:2日間で終わるなんて、めっちゃ儚いですよね・・・。
 
編:ほんとだね・・・、まさに青春だ。(笑)これまで大変だったんだろうねえ。
 
社長:もう禿げそうです〜〜!!!!
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編:例えば、どんなピンチがあったんですか?(笑)
 
社長:隣のクラスとアイスクリームが被ったことが、一番の山でした。
 
編:(高校生らしくてホッとした・・・。)
 
社長:あとはプレゼンの作り込みと、協賛を募ったことです。
 
編:プレゼン??
 
社長:6月に全クラスが行ったプレゼンの審査結果で、支援額が変わるんです。だから、かなり作りこみました。
 
編:本格的!!!
 
社長:結果的は3位だったので、文化祭終わったあとの最終発表では1位を取りたいです。
 
編:社長、燃えてますね。(笑)
 
社長:私たちは、アイスクリームの売り上げと協賛金を、LGBTの団体に寄付して、動画を作成する予定です。ただ二日間でアイスを1000個完売しても、金額は低くて。
品女の文化祭は招待制で来客数が限られることもあり、「クラウドファウンディング」をつかって、インターネット上で寄付も募ろうと思っていたんです。なんと申請が下りて、「よっしゃ!」という直前にNGでてしまって・・・。
 
※クラウドファウンディング=インターネット上で寄付を募る新しい方法。READYFORなどがある。
 
編:むしろ一度申請が通るんだ、すごい!自由というか、素敵な学校ですね!
 
社長:はい〜、でも私たちとしては、当初予定していた金額が大幅に減ってしまったので、アイスがもし売り切れなかったら、大変です。前例として、自社株を買うことはあったんですが、それじゃ自己完結しているし、とにかく新しいことをやりたかったんです。
 
編:うんうん。
 
社長:昨日もあれこれ起きて、1時間しか寝てません!
 
編:楽しかったことはある!?
 
社長:んーー、大変と同時並行でしたね。
あ、幹部での話し合いが、何より楽しかったです!LINEのビデオ通話で、一人が買い出しにいって、こっちは学校のカフェテリアで指示を出したり。9月に入ってから文化祭までの放課後は、全てこの準備に使いました。
 
編:全て!?
 
社長:はい!夏休みも週一で会ってました。ひたすら話し合いをして、展示や誘導で、どうやったらLGBTが伝えられるか考え続けてました。
 
編:最後に!もう一度教えてください。どうしてここまでLGBTに熱意をもってるんですか?
 
社長:正直、やはり文化祭を成功させたい、一位をとりたいという思いが根底にあると思います。
 
編:それはそれで、素敵だね!
 
社長:ただ、「なんでこんなに偏見をもたれないといけないの?」と思うことは、調べるほど本当に多かったです。たとえば海外には、LGBTであるだけで死刑になる国もあるんです。
 
編:そうなんですね・・・。
 
社長:一方で、日本よりも性に自由な国もたくさんあります。生まれつき持っているものなのに、処刑されないといけないなんて、と思います。私たちを通じて、多くの人がLGBTに関心をもってくれたら、本当に嬉しく思います!!

石黒和己(いしぐろ わこ)

NPO法人青春基地・代表理事/1994年愛知県生まれ。映画やエッセイを読むことが好きです。過ぎさってしまいそうな人の気持ちや仕事こそ、解像度をあげて観察したいです。