そうです、私たちは「虫」を食べました。
みんなが知っている、あの「虫」たちです。
※虫が苦手な人は画像に気をつけて下さい。
コオロギや、幼虫や、得体の知れない虫・・・。
こちらはまさかのサソリ・・・。
こんなかわいい子もいた!!!(救世主。)
※ハリネズミは食べませんでした。
早速、クッキングスタートです。
本日のシェフは地球少年こと、篠原祐太さんとアシスタントのHさん。
篠原くん>>1994年、地球生まれ。慶應大学在学中。現在は、「地球少年」として、虫料理企画の主催や虫料理ケータリング、世界初の虫ラーメンや虫フレンチ等、幅広く手掛ける。日々、自然や生き物の魅力を伝えるために人々のところを飛び回り、昆虫採集のために大自然の中を駆け回っている。自然を感じるツアーも多数実施。最近は、ふんどしの販売を行う株式会社ふんどし部を立ち上げた。
Hさん>>地球少年篠原くんのアシスタント。生き物や自然が大好きで、大自然の中で食材を見つけてはそれを料理して食べている。野草やキノコ、毒草が特に好き。「今はどんな暮らしをしているの?」と聞けば、「何千匹もの虫たちと一緒に暮らしています。」と即答。彼女の存在も、なかなか濃い・・・。
篠(篠原くん):
まず、みんなと食べる虫は、コオロギちゃんです。フタホシコオロギと、ヨーロッパイエコオロギを連れてきました。サイズや色が違う他、味もそれぞれ特徴があります。
み(みんな):はあ・・・。美味しい虫とか、まずい虫とかあるんですね!?
篠:もちろん!今日の虫たちは癖もなくてオススメ!!というわけで前菜から、デザートまでフルコースでご用意致しました。
み:虫はどこから調達するんですか?
篠:買う時もあるけど、基本的には家で一緒に住んでる子たちを使うよ。後は、そこらへんで捕まえてきたり。
み:どちらで・・・?
篠:どこでも!虫がいれば!でも今回は、業者さんから買った虫さんを使うよ。
み:一匹おいくらするんですか!?
篠:このコオロギとかだと、10円/匹くらいだねえ。
み:意外と高い!虫って高級食材なんだ!!
篠:では調理始めます!まずはコオロギの素揚げ。
み:ぎゃーーー!!ほんとうに虫が揚げられていく・・・。
篠:
今日はリッツの上にサルサソースを乗せて、そこにコオロギの素揚げをトッピングします。他にも、ミールワームという幼虫を揚げてみたので、アボガドディップと、クリームチーズの上に乗せてみます。相性抜群だよ!
こっち、見てます。
「ぎゃーーーーーー!!!!!!無理無理無理。」
「案外美味しい!」
「香ばしい感じ!」
他にも、ポップコーンのコオロギ味、カイコ味、トノサマバッタ味を食べ比べ。虫の粉末を使っています。
「わ!意外と食べれる!!!!」
「うん・・・・。」
サラダにも贅沢に虫がトッピングされてます。
デザートは、タガメのフルーツヨーグルト。
篠:せっかくなので、タガメを一匹そのまま飾りました!身の部分はすでにヨーグルトと混ぜてあります。
み:はい・・・。
み:(ぱくっ)…ん⁈ラ・フランスの味がする!すっきりした感じ!
・・・と、人々に、驚き(というより時々悲鳴?)を、与えつづける篠原さん。彼は、何故昆虫食を作りつづけるのでしょうか??
虫を食べるのが好きなんて、最初はだれにも言えなかった。
——始めて虫を食べたのはいつですか?
篠原さん(以下:篠)
:4,5歳のときかな?初めて食べたのはバッタかな。原っぱで捕まえたやつだね。
編:親に怒られたりしなかったんですか!?
篠:
バレないように食べてたね。陰に隠れて食べたり、原っぱの草むらの中で食べたり。
もちろん、友達にもほとんど言わなかった。小さいなりに、周りと違うっていうのは感じていたし、言ったらいじめられるだろうなという不安もあったから。
で、今となっては、親も受け入れてくれている感じ。でも周りの人に虫を食べるって言えるようになったのは、2年前くらいからかな。
編:結構最近ですね…!!!2年前なにかあったんですか?
篠:
それまで趣味でやっていた「昆虫食」が、食糧や環境問題のために注目されるようになってきて、それで虫に可能性があるって。
日本でも昆虫食の会が賑わってるって聞いて、「そんなことで?」って最初は驚いたんだけど。やっていくうちに、どんどん受け入れられるようになって、面白い出会いや気づきもあったから続けています。
編:Hさんも、もともと虫が好きだったんですか?
Hさん:
そうそう!自然とか虫はずっと好きでした。小さい頃にアメンボを「アメ」っていうくらいなら甘いと思って食べたんだけど、味がしなくて期待はずれだったから、私は昆虫食には走らなかったよ(笑)
今は彼と一緒に昆虫食の活動をしていて、私は調理を担当しています。最近は虫を使ったラーメンとか、フレンチのコース料理、和食料理にも挑戦したよ。
虫に対しての偏見が、ただただ悔しかった。
篠:そもそも「虫って食べられないだろう」とか、「汚い」って思われているのが、すごく嫌だったし、悲しかったんだよね。
は:
食べ物の味ってその時の気持ちや頭の中にある情報でも変わると思ってます。だから、すごい嫌いって思って食べたらどんなものでもまずく感じるんじゃないかな。
編:たしかに!
篠:
そうそう。でも勇気を出して食べてみることで、気持ち悪いと思ってた虫への偏見もなくなる。そのために楽しい、美味しい、と思ってもらえる虫料理を作りつづけたい。
それから虫を食べてみると、みんな「食べられる/食べられない」の境界線が曖昧になるよね?
つまり偏見さえとっぱらえば、「すべての生き物が食べ物になり得るし、すべての食べ物が生き物で、同時に命あるものだ」ってことを伝えたいよ。
昔「ペヤング」にゴキブリが入ってたことが話題になったこと覚えてるかな?もちろん商品製造の過程で、異物が混入したことは大問題。
だけど僕は、異物混入自体ではなくて「ゴキブリ=悪」みたいになって、論点がすり替わっている気がしたんだよね。いつか、すごくおいしい「ペヤング」のゴキブリやきそば作って売りたいよね。(笑)
編:家でゴキブリが出たらどうしますか…?
篠:
その時次第かな。お腹空いてたら食べるかも!ただ、家にいるゴキブリとかだと殺虫剤とかが付着してる場合があるから食べない方が良いかな。逆に山の中にいるゴキブリとかは加熱さえすれば食べられるよ!
ちなみに世界中には数千種類のゴキブリがいて、そのほとんどは森の中に住んでいるんだよ。
編:へえええ!!!
篠:
あと最近だと、なんでも食べるゴキブリに生ごみを食べてもらって、ごみ処理問題を解決しようみたいなアイディアとかもあったり、ゴキブリを真似てロボットをつくったり、新しい可能性は無限に広がってるよ!
食べ物か、生き物か…その境界線ってなんなのだろう?
篠:
最初の頃は全部の虫につけてたんだけど…さきちゃん、りさちゃんとか。でもりさちゃんって名前の人間の友達にあったときに、頭の中ではゴキブリ思い出しちゃったりして、気まずいなって思って控えることにした (笑)
編:でも名前までつけて、食べるときに寂しくないんですか?
篠:
もちろん寂しいけど、食べるっていうのは生きてく上で必要な行為で、命をいただくということは何を食べる時も一緒だと思う。それだったら好きなもの食べて、その分思いっきり生きたいなって。
農家さんがかわいがってる野菜を食べたり、養豚場の人が自分の豚を食べるのと同じ気持ちかな。僕の場合、たまたまそれが虫だった感じ。
編:「食べ物」と「生き物」の線引きってなんだろう…。
篠:
そうだよね。俺はこの間を自由に動いているし、フラットにありたいなと思うけど、極端な話、人だったら食べるのは難しいよね。頭では平等とわかってても、越えられないものはあるよね。
編:じゃあ、命はみんな平等だっていう考え方なんですか?
篠:
そう思いたいよ。ゴキブリと会話しているときも、人間と会話しているときと同じような感覚があって、どちらも尊い命だし、愛おしいなって感じる。まだまだ先は長いけどね。
編:今後の目標は?
篠:もっと地球と仲良くなりたいって思ってるよ!
編:今は地球と仲いいですか?
篠:
うん、仲良くなれたなって思う瞬間はあるね。まだまだだけどね。クリスマスに、友達と樹海に行ってきたんだけど、自然の中にいると「生きててよかった!」ってすごく幸せな気持ちになる。
でも人間や人間社会だって負けず劣らず、面白いし、好き。どっちも人間として生きることの面白みなんじゃないかなと思う。
僕は、世の中に、自分が食べたことがないものがあるのが、許せなかったりもする(笑)でもたとえ100年,200年生きても食べきれないほど、食べ物はいっぱい地球にはあるんだよね。知れば知るほど、自分が知らない世界もみえてくる。
地球って、本当におもしろいよ。幸せ。地球最高!
※本企画は、2016年1月に開催致しました。
※本記事は、2020年9月に加筆修正しています。