慶應義塾大学教授・村井純さん -後編-「未来のリスクを必要以上に深読みしてテクノロジーの発展を止めるなら、俺はchallengeする人間を信じる。」

2016年12月29日

「インターネットの父」村井純さんへのインタビュー後編はこれからのインターネットに迫ります。
人間のためのコンピューター、インターネットをつくりたいという思いを持っている村井さんにとって未来はどのように映っているのでしょうか。
最後にはこれからを生きる高校生へのアドバイスももらいました。
 

俺は人間を信頼している。

 
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–インターネットが一般的になって、つながりっぱなしじゃないと不安になることがあるんです。そんなことをインターネットの発展を見てきた村井さんはどう感じますか?
 
村井:まず前提として、インターネットの発展ということで言うと、人間は何を求めていて、人間はどう変わっていくのか、それに基づいてインターネットが変わっていくのが自然な流れだと思っている。その方が良いと思うんだよ。例えば俺はコンピューターで日本語が正確に使えるようにしようというプロジェクトに取り組んできたけど、その一方で中国では縦書きが禁止されている。これが政府によって決定されたことで、一人ひとりが望んだ結果でないことが将来問題になると俺は思うんだよな。みんなが少しずつ変えていくものは人間の社会の成長と関係しているからそれほど問題ない。でも、偉い人の一言でポンと決まってしまうことで、人間が失うものがある。
 
編集:なるほど。
 
村井:例えば食事をしているときにスマホを見ている人がいるだろ?
 
編集:はい。笑
 
村井:ああいうのって俺なんかからすると「君ら仲悪いの?」って思っちゃうんだけど。笑
ただ一方でそうなってきたってことは、それで良いのかもしれないとも思うんだよ。スマホを見ていないと落ち着かないとか、そういう時期から少しずつ人はマナーやエチケットを身につけているんじゃないかな。時代によって人が不愉快に感じることは変わってくるから、ああいったこともある程度許される社会になるのかもしれない。
 
編集:そんなに変わるものですか?
 
村井:だって1960年代の映画を見てみなよ。みんな食事中にタバコを吸っているだろ。
 
編集:確かに!
 
村井:俺は人間を信頼してるんだよ。だから、人間を尊重して尊敬してテクノロジーを作れば、マイナスな部分は自分たちで直したり、気をつけることができると信じてる。未来を必要以上に深読みしてテクノロジーの発展を先送りするくらいならば、俺は人間を信じる。そういうことをちゃんとできるんじゃないかな、俺たちって。
 
編集:なるほど。
 
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–ちなみに高校生のうちに学んでおいたほうが良いこと、やっておいたほうが良いことってありますか?
 
村井:とにかく好きなことをやりなさい。
 
編集:好きなことですか。
 
村井:いつも同じことばかり言っていて申し訳ないけど、自分が好きだと思うことをやるのがやっぱり一番良いんだよ。親の言うこと、学校の言うことも色々あって大変だとは思うけど、親には子どもが何かに夢中になったときにできるだけ止めるなって伝えるんだよ。親は何かに夢中になっている子どもを見ると、きっと不安になる。
 
編集:そうですよね。
 
村井:俺は自分に自信を持って生きてほしいし、自分を好きになってほしい。だからこそ、これに関しては自信があるということを持つことが大事だと思うんだよ。自分が好きだと思えるようになるためにも、何かに夢中で打ち込んでください。
 
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さり

同世代にもっと届けられるように頑張りたいです!よろしくお願いします!

もりみか