【NPO大学】「政治を学ぶだけでなく、政治に関わる若者を増やすために」NPO法人YouthCreate代表・原田謙介さん

2016年9月27日

日本財団CANPANプロジェクトとオルタナSが開催する「NPO大学」第3回目はゲストにNPO法人YouthCreate代表・原田謙介さんを招いて開講しました。今回のテーマは「政治」です。
 
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原田謙介さん
岡山県出身、東京大学卒業後NPO法人YouthCreateを立ち上げる。代表として若者と政治をつなげる活動を現在も続ける。
 

新聞も読んでいない高校生が政治と出会うまで

 
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原田さんは岡山県出身、愛媛県の高校から東京大学へ進学したことをきっかけに東京へやってきました。現在、30歳。
政治との出会いは大学時代の国会議員事務所のインターンシップでした。
 
「高校時代、新聞を読むような真面目な高校生でも、家の中で政治の番組を見ながら話すような真面目な高校生でもありませんでした。それでも大学時代は政治・行政・法律この3つに関わることをやりたいと思っていたんです。」
 
そこでたくさんの人に会ったことで原田さんの政治へ抱いていたイメージが少しずつ変わっていきます。政治家、政治家を支えるスタッフ、地元で応援してくれる人々や様々な業界の人々、メディア、いろいろな人と出会うことを通じて政治家は決して悪者ではないと気付いたと言います。
 
でも、そこで若者と全然出会わないことに気づくんです。普通の大学生と政治家が会うこともなければ、20代の人でさえ政治家と会う場面を見ることはまずありませんでした。何かがおかしいなと思いました。」
 
政治家は若者と出会わず、若者は政治家と出会うことがない。だから若者は政治家がどんな人かわかりません。若者と政治家、お互いがお互いのことを全く知らない状況に疑問を抱き、学生団体「ivote」を立ち上げたことをきっかけに若者と政治をつなぐ活動をはじめます。
 

若者と政治をつなぐために、NPO法人YouthCreateの挑戦

 
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若者と政治をつなぐ、そのために必要なのは一体どのような取り組みでしょうか?
 
「若い世代は選挙に行った方がいい、政治に興味を持たないとまずいよと伝えていっても限界があると考えています。社会全体が変わらない限り、若者に選挙権が与えられても何も変わらないんです。
 
若者と政治家が出会うことのない状況を変える、そのための第一歩が教育です。中学校や高校へ足を運び、生徒だけでなくその周りの大人達、保護者や先生、地域の人々にアプローチしていきます。
 
「環境問題って京都議定書を定める前後から問題提起がはじまって、節電とか環境に良い取り組みっていいことだよねっていう雰囲気が作られたんです。それまで市民権を得ていなかった。若者と政治についても同じようなイメージを持って欲しいと思っています。」
 
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NPO法人YouthCreateの掲げるミッションそれは『若者と政治をつなげる場づくり』です。そのために2012年に設立、その中で(1)子ども・若者と政治が接する場を増やす、(2)子ども・若者が政治への知識を高める、(3)若者の政治参画を進める、3つの取り組みを行います。
 
若者が自分なりの考えや疑問点を持つことができる、それが知識を高めるということだと考えています。その上で政治に参画した結果が必ずしも若者の声の政治への反映ではないと思うんです。民主主義である以上、議論の場に乗せられた意見が全て反映されるとは限りません。それでも現状は議論にさえ乗せることができていない、だからまずは議論に乗せることから始めていこうとしています。
 
NPO法人YouthCreateでは選挙に行くことだけを切り出すことはありません。結果的に選挙に行くことは重要ですが、納得感をもって選挙に行くことが大事だと言います。
そして政治は決して遠くのどこかで起こっている話ではありません。自分の最寄駅の周りがどんな場所になってほしいか考えることはその街の政治を考えることです。
 
「わからないから選挙に行かない、という人もいます。でも大人ですら全部を理解して投票している人はほとんどいません。完璧な理解を政治の参加に求めてはいけないと考えています。」
 
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2016年9月9日に総務省から発表された7月の参議院選挙の世代別投票率では、18歳の投票率が20代、30代の投票率を上回る結果となりました。
 
「僕らは2016年が、選挙年齢が下がった年ではなく、若者の政治参画がはじまった年として認識されるように活動を行いたい。」
18歳選挙権の実現で急増した主権者教育、実際にNPO法人YouthCreateも40校以上の学校で授業を実施しています。
 
「しかし、課題点も多いのが現状です。選挙の仕方を教える授業がまだまだ多かったり、模擬選挙だけをやる授業も多くあります。本来は選挙のその先、街のことを考えることの方が大事だと思うんです。そして政治的中立性の問題、この3点が課題として見えてきました。」
 
政治を学ぶだけではなく、関わって欲しい。そのためにも主権者教育で学んで終わりではなく、その学びを発信することが大切です。きっと誰も話さないから政治の話題を話すことがないだけで、誰かが口火を切ればきっとその話題に共感してくれる友達はいるはずです。」

事務局・千葉雄登

この記事は高校生ではなく、僕が執筆させていただきました!/青春基地ウェブ運営部ディレクター・慶應義塾大学2年