今回は、TOKYO MX『モーニングCROSS』(7:00-8:30)の生放送の現場に潜入!
番組を見ているだけではわからない、テレビ番組作成の裏側や、裏方のスタッフさん達がどんな動きをしているのかを自分たちの目で見て、インタビューを行いました。
MCの堀潤さんはじめ出演者の方々は、生放送の数秒前まで楽しいお話が絶えない和気あいあいとした様子でした。出演者の皆さんが楽しんで番組をつくりあげていることを感じられる、そんな現場です。
それでも本番が始まれば、パッと切り替わるのがすごいところ。ミスが許されない生放送で、スタッフさんや出演者の方々がカンペなどを通して常に現場の状況を把握し合いながら番組を進めている印象でした。このスタジオにいるスタッフさんはカメラさんも合わせて約10名。次の段取りや残り秒数などをわかりやすく出演者に伝えていました。
生放送を見学した後は番組作りの裏側や、TV局の仕事についてインタビューして聞いてみました!
——『モーニングCROSS』をつくる上で一番気をつけていることは何ですか?
私は『モーニングCROSS』の立ち上げも一緒にやりましたが、普通の番組よりインタラクティブな双方向性のある番組を目指しています。今までのニュースは、私たちが取材して制作したものを、「これがニュースだ!」って一方的に出すだけで、もしそれに対して、テレビの前で「いやいや、それだけじゃないよ!」って思ってもそれを言う先がありませんでした。でも、それって番組を作る人、その番組を見る人の双方にとって不幸なことだと思います。だって本来は多角的に情報を伝えられるのが一番いいはずです。
編集部:たしかに…。
堀:
自分たちが取材をして伝えているものが、必ずしも正解ではないっていう目線を持っておくことで、 視聴者の人からの少し違った意見がきた時に、「あ、僕確かにちょっと偏ってたかもしれないですね、こんな意見もきてますね。」という風に、TwitterなどのSNSを通して議論が始まる。これがすごい大事なことだと思います。
編集部:
だからこの番組ではリアルタイムでTwitterの意見を紹介することがとても多いんですね。
堀:
今まではテレビで自分の発言の誤りを認めたらそれだけで大問題になる、みたいな風潮があったから、根本の問題を解決するために知恵を集めようという本来の姿とは全く逆の状態でした。だからこの番組では、放送中にTwitterでくるたくさんのツッコミや新情報、別の角度からの意見を積極的にテレビで打ち返していく、ということをやっています。
編集部:なるほど!
堀:
だから、コメンテーターの人が喋った意見に対して、「でもある人からはこういう意見・反論が上がっていますよ、どうですか」って聞いたら、「うんまあ確かにそういうとこもありますよね」となることもあります。こういうやりとりや過程がすごく重要なんじゃないかなって思いますね。
——堀さんがやってるお仕事で特に面白いなと感じることは何ですか?
誰も見たことがない、知らないことを一番最初に見たり知ったりできたときかな。あとは「一次情報」を持っている人、つまり当事者に直に話を聞ける時が嬉しい。伝聞で情報を得た場合、色んな人を経由してるから、似たり寄ったりで当たり前に感じるような話が多いんだけど、本当の一次情報を持ってる人に聞くと、自分が思ってもみなかった本当の情報に触れられます。
いくらネット上での世論や政府からの発表やテレビでの情報があったとしても、「いや本人に聞いたら違いましたよ」としっかり自分で言える瞬間があった時、取材に対して満足感を得ることができますね。だから今みたいに直接話をすることがすごく大切ですよね。
——取材をする時にいつもどんな準備をして行きますか?
取材は一回では終わらないんです。NHK時代の先輩は、「業だと思って一生付き合え」と教えてくれました。
編集部:一回で終わらないんですか!?
堀:
だって一回会って話を聞いたところで分かるわけないじゃないですか。事前にプロフィールとか、その人が普段言っていることは何かとか、どういう人脈を持っている人なのかとか、そういうことも一応頭の中に入れていきます。でも、それはさっき言ったように、二次情報三次情報から得ている情報なので。一次情報を持っている本人に向き合うのは、初めての体験、つまり初対面なんです。初対面の誰かと付き合えるかっていうと、付き合えないですよね?
編集部:確かに無理ですね…。
堀:
取材とかニュースって、ついつい一期一会みたいにして量産してしまいますが、たぶんそれじゃダメなんです。
編集部:
ではどうしたらいいんでしょうか?
堀:
何回も会う。しかも、何にもないときに何回も会う。だって、獲物が欲しいときだけ会いに来られるって何か嫌じゃない?そんな都合のいいときだけ呼び出して、みたいな感じで。そんなので信頼関係築けるかっていうとそうじゃないはずで。
編集部:
どのようにして接していくんですか?
堀:
例えば、「あれ、何、今日どうしたの?」「ちょっと近くを通ったんで。どうですか?」「それだけ?」「ちょっと元気かなぁと思って。じゃあまた。失礼します。」みたいなのが大事なんです。それが1年2年、3年と経って、「君いつも来てくれてるからさ、ちょっと聞いてよ、相談になっちゃうかも、愚痴になっちゃうかも、あのさ・・」って本音が聞けると思います。「そんなことに直面しているんですか。ちゃんと書いたほうがいいですか?」となってくるのが本当の取材ですよね。
編集部:なるほど。
堀:
アポイント取れました、インタビューさせて下さい、ありがとうございました、流しました、っていうのはほんとの取材じゃない。本音は言わないし、言えないと思います。
編集部:
だから一回では駄目なんですね…。
堀:
現場百回という 言葉がありまして、ほんとに百回行くんです。だってそうしないと、ひょっとしたら今だって俺が大嘘ついてるかもしれないし!笑
編集部:えーっ!笑
堀:
それぐらい人を懐疑的に、いじわるに見るのが仕事だったりもするんです。
——最後にテレビ業界をめざす若者へ、一言お願いします!
テレビ局に就職しなきゃ発信できない時代じゃありません。皆みたいにいくらでも発信する方法はある。メディアに入ることだけが記者、アナウンサー、ディレクターの道ではありません。
どんな分野にいても発信はできるし、記事やブログを書ける。だから、良質な一次情報を自分自身が持つことを目指したらいいと思う。それがあって、いろんな人の話が聞けるようになります。取材っぽいことに傾注するんじゃなくて、自分が専門家なんですって言えるような分野を確立して、そこを発信すればいいと思います。それが政治に関わり、経済に関わり、とどんどん広がっていくので。
ぜひ、とっておきの一次情報を持つ人間になってください。
編集部:ありがとうございました!