ムサビ長澤学長インタビュー!前編「美大は誤解されている?」

2018年1月9日

 
 

ムサビ長澤学長インタビュー!前編「美大は誤解されている?
」

 
 
みなさん、美術大学に対してどんなイメージを持っていますか?
よくわからないけどなんか変なところ。絵を描く人がいるところ。
全部合ってるけど、実はそれだけじゃない。イメージとはちょっと違う美大の姿があります。まずは知るところから。そして一緒に考えてみましょう。
長澤学長の話す考えや美大発想は、すべての学生の力になるはず!
 
 
 
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高校生インタビュアー

左)まゆ
将来はバレエダンサーになりたい。卒業後は留学してバレエの修行をする予定。長澤学長の話がきいてみたくてきました。
右)はな
小さい頃から美術の時間が大好き。だんだん進路のことを考える中で芸術系の学部を考え始めた。オープンキャンパスではなく長澤学長の話を直接聞けるこの機会に話を聞いてみたくてきました。
 
 
長澤忠徳さん
武蔵野美術大学学長。これまでに民間企業他地方自治体や政府のデザイン顧問、数々の展覧会プロデュースを行う他、デザインコンサルタント協会の設立や「デザイナーシップ」などデザインの新たな概念の提唱者でもある。著書『インタンジブル・イラ』他多数。
プロフィール 
http://profile.musabi.ac.jp/page/NAGASAWA_Tadanori.html
 
 

実は理系出身?!
ムサビ長澤学長が美大にきた背景と学んだこと。

 
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—早速ですが、なぜ長澤学長は美大に通おうと思ったんですか?
 
僕、実は美大に来る気なんか全然なかったんですよ!(笑)
 
最初は医者になろうと思ってました。けど勉強する中で文理に分けることへの違和感を感じて、<文理の間にいきたい>と思ったんですよ。でも当時はシステム工学とか経営工学くらいしかなくて、あまりピンと来ないまま、いつのまにか浪人をしてた(笑)
 
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「あれが夕方のお日様だよ。 」

 

あるとき人生が決まりました。下宿先の大家さんが心配して、外に連れ出してくれて、バスに乗って夕日をみていたんです。そしたら横にいた親子が「ほらほら、みてみて。あれが夕方のお日様だよ」って話してたんです。僕は夕日と思い込んでいたのに、捉え方によって、同じものが違う様にみえるんだなと驚きました。小さなことですがそれがきっかけで次の日には進路を決めようと下宿を飛び出したんです。
 
そして探す中で「面白い学科がある」とたまたま紹介してもらったのがムサビの基礎デザイン学科。シラバスをみたら、理系の分野や論理学や哲学もあるし、求めてた文理の折衷がそのままおいてありました。しかも表現のことまで教えてくれる。ここだ、と思いました。
 
 
 
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—実際に美大へ入ってからはどうでしたか?
 
<デザイン>という括りのなかで、全部の分野が組み込まれて構成されてる感じだから面白かった。文理を問う必要もない。うーん全部デザインだよね、みたいな。
 
僕は2浪もしてるからやる気満々で、とにかくいろんなことをやりました。専門学校に同時に通ったり、同世代のクリエイターと毎週語り合ったり、バンドやったり、ガリ版に自分たちのメッセージかいたのを綴じて九州まで行って売り歩いたり。大変だったとかじゃなくてやりたくてしょうがなかった。ど青春でしたね!
 
 

実は美大進学を考えていなかった学長から伝える実際の美大。
表現は、さんざん考えたあとの最後の段階。

 
 
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We are All Different ,We are All Special.

 
美術の時間とかに作っているものをデザインだと思っている人がいるけど、あれは最終段階なんですよ。人の数だけ表現のバリエーションがあるから、その部分だけ考えていたらきりがない。僕たちはみんな違くて、でもみんな特別だから。
 
だから僕は美大にきたら表現以上に、もっと違う体験をしてでてってほしいんです。もっともっと奥の考えることの大事さを。
 
 

問題発見力を育てる挑戦

 
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ムサビのデザイン情報学科には「課題発見」という授業があります。
課題を発見することが課題なんだけど、その元になったのが、東北芸術工科大学の創設メンバーで関わったときに始めた「全国高等学校デザイン選手権大会」。あれがぼくの教育における最初のチャレンジでした。今もまだ続いています。
 
一番最初、僕が衝撃を受けて「あぁやってよかったなー」って思ったのは、聾学校の生徒の「フローライトフラッシャー」。昔はね、電車の遅延や緊急停止とかホームでの案内は全部アナウンスだけだったんですよ。それが耳のきこえない子にはわからないという課題を発見して提案してくれて。そういう声って届くんですね。今は全部電光掲示板にうつる。
高校生が素朴に思うことを社会化してあげると、こんなインパクトがあるんだなと実感しますね。
 
それからムサビが当時の新学科(現デザイン情報学科)を開設する事を機に学科の教員としてムサビに戻ってきました。そこでやっぱり大学生も課題発見したほうが良いなと思って授業にしました。学科を設立して2年目から、今もまだ続いています。
 
 
武蔵野美術大学デザイン情報学科名物授業「課題発見」とは
 
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武蔵野美術大学デザイン情報学科ホームページより
http://dinfo.musabi.ac.jp/curriculum/dk/
 
生徒同士のグループで一つの会社として1ヶ月間活動。ロゴ、理念などの土台から、会社の事業にあたる課題・その解決策を考え、試作品・ポスター制作、プレゼンまで行う。見つける課題はユニークさだけでなく論理性や現実性も求められ、何度も教授から厳しいチェックを受けた後最後のプレゼンにて成果を評価される、まさに一発勝負。美大の授業の中でも特に実際の社会を意識した授業である。
 
 
ムサビでの授業期間は短いけど、授業後まで引っ張ってそのまま商品になった企画もあります。ページ全面ポストイット。
自分から課題を見つけていくっていうことが大事なんです。そういうことを一年生の初めの方からやって鍛える。
これが実際の仕事でも重要になります。お客さんの要望にひたすら答えるだけでなく、もっと前の段階を気にするのもデザイン。
 
 
 

前編では、想像とはちょっと違う実際の美大の姿をお聞きしてきました。後編では、学長が大事にする考え方の部分から、すべての学生へメッセージを伺いました!
後編は1月12日(金)公開予定!
 
 
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【平成29年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作展】
▶開催期間:2018年1月18日(木)〜1月21日(日)
▶開館時間:9:00〜17:00
▶会場:武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス
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伊藤りか

大学1年の青春基地編集部スタッフ!人が好きです。映像をつくったり写真を撮ったりします。