【後編】スタディサプリLIVE day2レポート「社会の基準で決めるのではなく、大事なことは自分が何をやりたいか。」

2016年8月29日

夏休みが始まり、学校の宿題に受験勉強に日々忙しい人も多いのではないでしょうか?そんな夏休みに進路に悩む高校生を対象に「スタディサプリLIVE」が開催されました。
 
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dayレポート後編では4人の何かに打ち込む大人と2人の大学生のスピーチの様子をお伝えします。
 

憎しみの連鎖を断ち切るために、テロリストの息子に生まれて。

 
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ザック・エイブラヒムさん
2014年TEDでテロリストの息子であることを告白して注目を浴びる。著書に「テロリストの息子」がある。
 
他のイスラム教徒とは異なる境遇で育ったザックさん。様々な宗教には自分の信条に固執し、それを他人に強要する人もいます。ザックさんは狂信的なイスラム教徒の家庭に育ち、イスラム教の負の面を目にしてきました。
「一部の政治家やメディアが一般社会に植えつけようとするイメージへ私の生き方で反証したいのです。」
イスラム教徒の一部の過激派の言動をイスラム教の主義だとする声もありますが、それは誤りだと語ります。
ザックさんの父はある人物を暗殺し、その罪で服役していました。1993年の世界貿易センターの爆破事件にも関わり、有罪判決を受けています。そんな体験を「テロリストの息子」という一冊の本にまとめました。
 
そんなザックさんが会場に向けて訴えたのは「いじめ」についてです。父親の逮捕、それに伴う誹謗中傷や暴力は後を絶ちませんでした。
「いじめに苦しんでいる人に伝えたいのは、いつまでもその状況が続くわけではないということです。時間が全てを変えてくれます。
10年間も来る日も来る日もいじめを受けたザックさん。いじめの対象になるのに特別な理由はありません。どのようなことでも理由になり得ます。だからこそいじめる人の言葉を鵜呑みにせず、「憎しみは憎しみしか生まない」と考え、伝えることが大切だと言います。
「暴力はある種族や宗教だけが持っているものではありません、その証明が私です。」
 

不可能なことなんてない、まずは一歩踏み出すことから。

 
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尾崎美恵さん
香川県出身。専業主婦として子どもを育て、末っ子の中学入学と同時に岡山大学大学院仏文研究科に入学。現在は「四国夢中人」を立ち上げ活動する。
 
青い海、青い空、果物が美味しい四国が大好きで「四国夢中人」という団体を立ち上げ活動している尾崎さん。
「私にはこの島をパラダイスにするという夢があります。」
島に住む人は20人、コンビニもなく、泥棒の心配もないため鍵もかけません。そんな島に住む尾崎さんはこの活動を行う前はごく一般的な主婦でした。そんな尾崎さんにとって転機となったのは父親との別れです。
「42歳のとき父が亡くなりました。その時、私の人生があまり多くは残っていないことに気づいたんです。親の言うことを聞いて生きることが幸せだと考えていましたが、自分の人生だから自分のやりたいことを思いっきりやって死にたいと思うようになりました。」
 
それから本気でフランス語を勉強しはじめ、岡山大学の仏文科へ。卒業後には非常勤講師を務めフランスやカナダへも足を運びました。
私は不可能なことはないと思っています。
フランス政府などと協力し、25名以上ものアーティストを島に招いてきました。京都にないものが瀬戸内海にはあると語る尾崎さん、だからこそアートでこの島の様子や風景を伝えていって欲しいと言います。
「はじめるきっかけは何でもいいと思います。そして時期もいつでもいいと思います。私が一番大切だと思うのは、ずっと続けることです。得意なこと、苦手なことがあってもいいんです。まずは足を一歩踏み出すことからはじめて欲しいんです。」
 

プロジェクトを一人で抱え込まず、いろいろな人と一緒に前に進めていく。

 
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中村暖さん
京都造形芸術大学に在学中。ジュエリーブランドを立ち上げ、活動を行う。
 
16歳の時に世界一周をした経験を持つ中村さんにとって、世界一周はディズニーに行く感覚と同じだったそう。発売されたばかりのiPhone片手に世界一周をし、訪れたイスラエルでは自分が訪れた場所が5日後爆破テロの現場となるなど、日本にいるだけでは体験できない様々なことを体験しました。そこで見たもの、聞いたことをTwitterで発信したことでその体験は同級生のもとにも届きます。
帰国後に友達と話した際に感じたのは誰かの悲しさと自分の関心が結びつかないことへの疑問です。
「誰かの悲しさを自分の悲しさとして捉えられない。すごく遠すぎるし、たくさんの情報で溢れていたんです。」
テロに驚きを示しながらもそれよりも自分のiPhoneの画面が割れたことの方が悲しいと感じる同級生にどうしたらこの悲しさを感じてもらえるのか、悩んだ末に選んだのは大学へ進むことでした。
 
「空間にもいろいろなものがありますが、僕は皮膚の少し上の空間、ジュエリーのデザインをしています。ただ単にきれいなものをつくるのではなく、ゴミになってしまうものをジュエリーにしたり、デザインで価値を上げることに興味があるんです。」
そんな中村さんが取り組んだのは爆弾をジュエリーに生まれ変わらせるプロジェクトです。世界一周をしたり、ジュエリーをつくったり、英語もできない中村さんはなぜここまで挑戦することができるのでしょうか?
「エネルギーが湧き出る必要なんてないし、それを無理に使う必要もないんです。自分一人でやろうとするとエネルギーが必要ですが、僕はちょっとずつたくさんの人に助けてもらいながら進めています。みなさんにもこの感覚を味わってほしいです。」
 

自分の気持ちに光を当てて気づいた、自分に素直に生きるということ。

 
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草野晴菜さん
中央大学に在学中。トビタテ留学JAPANでインドとパラグアイへ留学を経験。
 
週に100時間も働く草野さん。インドにいたときは朝7時から夜の1時まで働く日々でした。
「自分がやらなきゃ、という思いが強くて仕事を辞めるという選択はありませんでした。私の大学生活はインターンシップ生活と言っても過言ではありません。」
トビタテ留学JAPANを使ってインドとパラグアイへ留学し、現地でも様々な仕事を経験します。心に素直で、感情をぶつけてくれるインドの人々に戸惑いつつも、真剣さに心を打たれたと言います。
 
日本に帰国した際、湧き上がってきた疑問はとても根本的なものでした。
「なんでがむしゃらに頑張っているんだろう?」
それは楽しいからというよりも、怖いから。中学時代に友達に無視されたことや、躍起になって自分の居場所を探したこともありました。人間関係を作ること、それはとても難しいもので草野さんにとっては海外へ飛び出すことの方がよっぽどハードルの低いことでした。
「認めたくはありませんが、私は人に頼ることが苦手です。」
それでもまずは自分が人を頼ることが苦手だと認めること、まずはここから始めています。
「やってみたくない気持ちに光を当てることは怖いし、気づきたくなかったものに光を当ててしまうこともあります。それでも私は光を当て続けます。なぜならそうすることでより素直に生きることができるからです。ぜひ一緒に飛び込んでみませんか?」
 

やりたかった2つの夢、子どもが生まれて気づいた自分にとっての仕事の大切さ

 
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花盛友里さん
フォトグラファー。2009年よりフリーランスとして活動開始。女性誌や音楽しなどで撮影を手がける。プライベートでは一児の母。
 
写真家として活動する花盛さん、カメラとの出会いは14歳の時でした。最初に触ったのはキティちゃんの柄のチェキ。本格的な一眼レフのカメラに触れたのは、中学卒業後にアメリカの高校へ進学した時でした。カメラの魅力にすっかり魅せられた花盛さん、単位制の高校に通いながらバイトをしてお金を貯めようやく念願の自分のカメラを手にします。
もっと写真を撮ることを学びたいと思い、昼間は学費を稼いで夜間の専門学校に通いました。周りは仕事を持ちながら学んでいる人、大学とのダブルスクールなど写真が好きな本気の人ばかり、そこでライバルができたことでより一層写真に打ち込むようになります。周りから少しずつ認められるようになったタイミングで思い切って一般の人も参加する批評会に作品を出品しました。結果は散々。
「学校で褒めてもらえていた写真がけちょんけちょんに言われて、悲しかったし、何より悔しかったんです。だからこいつらより絶対にすごくなってやろうって決意しました。」
 
その人の素が見える瞬間を写真におさめることが好きだという花盛さん、一般の人の寝起きやすっぴんを集めた写真集を発売することもできました。しかし、その道は簡単なものではありません。
「私には2つの夢があって、1つは写真家を続けること。2つ目は子どもを産んでお母さんの子どもに生まれて良かったと思ってもらうことです。でもこの両立って難しかったんです。」
育児に専念しようとしたこともありましたが、子どもに辛くあたってしまうこともあったといいます。
こんなんじゃ全然ハッピーじゃないなって思ったんです。何より仕事をしたい、そう感じていました。
今は全然自分の時間はありません、それでも仕事ができる喜びを感じています。写真が好きだと気づけたこと、そして家族を持ちたいと思えたこと。この2つの両立のために頑張る日々を送っています。
「今は子どもに仕事をさせてくれてありがとう、って感謝しています。みなさんもぜひ、ここから楽しいと思える人生を自分で選んで行ってください。」
 

社会の基準で決めるのではなく、大事なことは自分が何をやりたいか。

 
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佐渡島庸平さん
灘高校卒業後、東京大学へ進学。卒業後は講談社に入社しバカボンド、ドラゴン桜、宇宙兄弟などを手がける編集者に。2012年に作家のエージェント「コルク」を立ち上げ、現在は経営を行う。
 
灘高校、東京大学へ進学しその後、講談社へ入社した佐渡島庸平さん。順風満帆な人生に見えますが、ある日ふと自分が恥ずかしくなり、自分が何をやって生きたいのかを考えるようになります。灘高校も、東大も、講談社も日本一、一見羨ましい経歴ですが市場が良いというもの、世間が良いというものを選んでいただけ。自分で選んできていなかったと振り返ります。
「なぜみなさんは大学へ行きたいと思いますか?社会でそれが良いとされているから?それならば大学へ行く意味はないかもしれません。」
自分が何をしたいのか、真剣に考えた結果始めたのが作家のエージェント会社コルクでした。
 
「どういう風にしたら自分のやりたいことを見つけられるでしょうか?将来どうしたいか、自分に問いかけていますか?安心を抱えるためにこれが夢だと決めつけていませんか?僕は見つけるのに32年かかりました。」
自分が何をしたいのか、見つけることで楽しい人生が待ち受けています。社会は複雑で分かりにくいからこそ、理解するための武器としての学問の重要性を説きます。だからこそ大学へなぜ行くのか、一度ゼロにして自分の生き方を考えることが大切です。
佐渡島さんにとって大きな転機は友人が29歳の時亡くなったこと、人生の終わりは唐突にやってくることに気づきました。今は人間の心を見つめるため、心の中のさざ波に気づくために編集者の仕事を続けています。
「学んで生きることは楽しいことです。楽しくないとしたらそれは周りが悪いのではなく、自分のやり方が間違っています。自分の心を見つめ直してください。」
そんな佐渡島さんは一体どんなことをしているのか、気になる人ぜひは佐渡島さんが編集した本やマンガを読んでみてください。そこにはたくさんのメッセージが詰まっています。
 
今回2日間にわたって開催されたスタディサプリLIVEの様子は映像で配信される予定です!
イベントに足を運べなかった人も、映像で今回の豪華ゲストの話を聞いてみてはいかがでしょうか?

事務局・千葉雄登

この記事は高校生ではなく、僕が執筆させていただきました!/青春基地ウェブ運営部ディレクター・慶應義塾大学2年