【前編】manma代表・新居日南恵さん「manma立ち上げの原点はAO入試かもしれません。」

2017年3月2日

 
 
青春基地の2月のテーマは「受験」。中高時代なにより気がかりなテーマですよね。
今回は、manma代表の新居日南恵さんの中高時代をお聞きしました。
 

1IMG_4050

新居 日南恵(におり ひなえ)さん
22歳。2014年に”任意団体「manma」を設立。家族を取り巻くよりよい環境づくりに取り組む。2015年1月より学生が子育て家庭の日常生活に1日同行し、生き方のロールモデル出会う体験プログラム「家族留学」を開始。日本国政府主催WAW!アドバイザー / 内閣府 委員なども務める。
 
 
「振り返ってみると、manma立ち上げの原点は大学受験かもしれません。」と新居さんは言います。大学受験はしんどい戦い。でもだからこそ今の活動が始まった奮闘記を、どうぞ!
 
高校時代をふりかえり、5人の青春基地中高生編集部へ、いつも以上に等身大に語っていただきました。

1IMG_4237

写真:取材したのは、当時中3〜高3だった編集部たち
 
 

| 学校帰りは、毎日テレビを見たり、友達と遊びに行ったり、ぼーっと過ごしていました(笑)

 

1-2
写真:”なえっくま”というあだ名、突っ込んでいいですか。笑

 
新居:ふつーーに中学生、高校生してました。やばいですよね(笑)
 
あかね:ええええ!
 
らん:全然今と違う!4年前とかですよね!?
 
あーや:すごい・・・。
 
ますみ:チャラい系だったんですか!?
 
新居:チャラい系ではなかったけれど、中学生の時は、塾の日以外、ずっと遊んでダラダラ過ごしていました。(笑)ジャニーズの出待ちとかしたこともあったな・・・。
 
ますみ:想像できない!!誰が好きだったんですか。笑
 
新居:Hey!Say!Jumpの薮宏太です(笑)学校終わったら、渋谷とかで出待ちして、プリクラとって楽しんでました。
そんな毎日を過ごしていて、超厳しい塾に通っていたから、当然ついていけなくなって。新しく見つけた塾の説明会で、慶応大学の「AO入試」というのを知りました。
※AO入試とは、単に試験による学力を評価するのではなく、大学での学びについての「志望理由書」と呼ばれる小論文や面接を通じて、意欲や熱意、それに伴ったリサーチや、実行力などから評価する入試方式。学校によって方法が少しずつ異なりますが、AO入試を採用する大学は、年々増加しています。
 
新居:慶応のAO入試の出願書類には、エントリーするための基準項目がいくつかあるのだけど、当時、一個も当てはまらなかったんだよね(笑)高校時代に勉強で成果を残したとかボランティアしたとか色々…。それで悔しくて、塾の先生に教えてもらったNPOカタリバのイベントに参加したのが全ての始まりでした。
 

1-4
写真:カタリバラボ

新居:学校の外に一歩出てみると、留学してたり、総理大臣になりたいとか、自分を遥かに超えた人だらけだった。どこかで自分はやれば出来る子と思っていたから、現実を突きつけられ、愕然としました。
でも、一方でまだ高校卒業まで2年間もあると思った。その日からは、当時出会った、高校3年生の眩しすぎる先輩を超えたい一心で、いろんなことを始めました。
 

1-3写真:Googleにて。当時一番憧れだった先輩を追いかけ、次年度の企画リーダーを務める。中央が新居さん
1
写真:100人の高校生たちと国会議事堂前にて。NPO法人「僕らの一歩が日本を変える」を、6人の高校生で立ち上げた。

 
 

| AO入試とともに見えてきた「自己肯定感」というテーマ

 

1IMG_4132

 
らん:高1のときから、「受験はAO入試一本」と決めていたんですか?
 
新居:一般との両立はキツイいし、中高が大学の付属だったから、落ちたらそのまま持ち上がりしようと高2のときに決めた!
 
らん:なるほど・・・。
 
新居:でも私は100%受かると思ってたよ!
AO入試一本と決めたら、できること全部リサーチして、先輩や先生たちに会いまくりました。大学の理念もわざわざ印刷して線引いて、ほぼ暗記したり。とにかく、徹底した。志望理由書も40本くらい書いた。今も資料やノートが数10冊残ってるはず。思い入れがありすぎて、捨てられないの(笑)
 
一同:わあ・・・。
 
新居:でも「AO入試」と聞くと、すごく大きな夢や壮大な社会課題をテーマがある人のものってイメージがないかな?
でも私は「やりたい想いがあることが美徳」という空気が超苦手で、抵抗感があった。
 
ますみ:意識高い系というか!
 
新居:そう!でも、ある先輩に「あなたが、常日頃、誰よりも考えているテーマについて考えてみろ」と言われたんだよね。あ、それでいいんだって気持ちが軽くなって。
 
新居:私、双子なんです。
 
あーや:双子!
 
新居:双子って、顔も、成績も、周りからの目線も大差なくて、自分とほぼ同じ個体が常に隣にいる状態。自分だけの”何か”を見つけられなくて苦しかった。
 
だから誰よりもずっと「自分とは?」と考えてました。調べているうちに、「自己肯定感」という言葉に出会いました。特技がある、こういうキャラである、ということじゃなくて、自分が存在していることを、そのまま肯定すること。これだなって。
nbsp;
 
この頃は、現在のmanmaや、子育てなどのテーマはまだ見えていなかったそうです。
 
 

| いじいじしてる自分のかっこ悪さや苦しさに耐えられなくて、manmaを立ち上げました。

 
あーや:この「自己肯定感」がどうやってmanmaに繋がったんですか?
 

1IMG_4069

新居:このデータは見たことあるかな?
 

data2
image:NPO法人青春基地作成

 
新居:どうして、こんなにも自分に価値を感じられない人がいるんだろう?と。
 
ずっと考えているなかで、本を読んだり、人と話して、その根源は「家族」だなって思ったんです。教育や、政治も大事だけど、なにより、家族という愛着を形成する場所が、人が育つ上で、わたしはとても大切だと思った。
 
あかね:すごく大事ですね。
 
新居:「家族が大事だ!」って偉そうに語るけど、形にできる場所がなくて、でも思いはどんどん膨らむ。
思いを形にしている友達たちの横で、口だけ偉そうなことを言っているかっこ悪さや、苦しさに耐えられなくてmanmaを立ち上げました。
 
らん:でも、すごい!
 
新居:まだ大学一年生だったし、ちゃんとした考えもなかったよ。リスクもデメリットもないから、まずはやってみようと。
 
新居:もう一つは、カタリバや、高校時代につくったぼくいちを通じて、「小ちゃい違和感からでも、この世の中で社会をつくれるんだ」と思えるようになっていたことも大きかった。それで懲りずに、きっとできると思ってmanmaをつくりました。
 
 

| 「もうすぐ大学生になる、高3のみなさんへ」

 
ますみ:manmaをつくるまでの大学生活は何していたんですか?
 
新居:本当に色々やってたよ。giftee、アショカジャパンのインターン、ピラティススタジオの受付、書籍の編集、AO入試の指導、あとはカタリバのスタッフ。
 
あーや:めっちゃ多いですね(笑)
 
新居:そうそう。でもね、例えば、企業のコンセプトに共感して働き始めても、実際にインターンでできる業務は一部。理念とやることが、どうしてもかけ離れてしまうんだよね。
 
新居:それから、色んなことをやると、必ずどれかがおろそかになるよね。
例えば3つ並行したら、時間は「3:3:4」になる。30パーセントの自分で向き合うことになるのがもどかしかった。
 
それは、すごくもったないないし、わたしは120%で仕事して、120%で評価されてみたいと思って、やめました。
 
ますみ:来年から大学生なんだけど、すごく迷ってて…。
 
新居:まずは、自分がやりたいことを全部やってみたらいいんじゃないかなあ。やってみてから「違うな」って思ってやめるのはアリな気がするよ!
 
あーや:今、中3なんですけど、部活をやりたくなくて。でもウェイウェイとか、青春できないのは嫌ですごく迷ってるんです。
 
新居:「青春したい」って理由だけでやりたくないことするのも違うし、「みんながやってるから、やろう」ももったいないと思う。
自分の好きな方で、より楽しく生きるって感じでいいんじゃないかな!
 
 
ありがとうございました。次編では、manmaに込めた想いをもっともっと聞いてみました!※明日公開予定!
 

ひなえとの出会いは高1に遡り、私たちは記事にも登場する「高校生100人×国会議員」の立ち上げの仲間でした。そのためこの7年間は、お互いの人生に対して、二人三脚で前進してきた、そんな仲間です。

「双子に生まれたこと」「自分に自身がないこと」「結婚できないかもしれない不安」など。
manmaの立ち上げは、本当に些細な、女の子の悩みです。今回の5時間にもわたる中高校生とのインタビューのなかで、自分自身の疑問や違和感から逃げないという力を改めて新居さんから感じ、小さくても、些細でも、自分が気づいた「問い」について考え続けることから始まるのだな、と思いました。

石黒和己(いしぐろ わこ)

NPO法人青春基地・代表理事/1994年愛知県生まれ。映画やエッセイを読むことが好きです。過ぎさってしまいそうな人の気持ちや仕事こそ、解像度をあげて観察したいです。