18歳選挙権時代到来 高校生の僕が今思うこと

2016年7月10日

皆さんはじめまして。藤嶺学園藤沢高等学校3年で同校生徒会長の緑川航平と申します。
僕は、高校2年生の夏休みに被災地を訪れたことをきっかけに「若者と政治」や「主権者教育」といったことに関わる活動を行ってきました。現在は3人の仲間と共に神奈川県へ「高校生視点での若者政策」を提言するための準備を進めています。
今回は、そんな僕が今話題の”18歳選挙権”について少し思うことを書かせていただこうかなと思います。どうぞよろしくお願いします。
 

被災地で感じた復興に関する「ギャップ」

 
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僕が「政治」というものに興味を持ったきっかけは、昨年の夏に参加した藤沢市のサマープログラム※でした。プログラムでは、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県を実際に訪れ、現地の方にお話を復興への取り組みを視察したり、現地の方にお話を伺いました、同年代の高校生たちとの交流を行いました。その中で強く印象に残ったのは、僕と同年代の高校生たちが地域の課題に対して「自分事」として向き合っていた事です。もちろん震災という大きなきっかけがあったからですが、そうして「理想の街」をつくるために頑張っている彼らの姿は、僕にとって衝撃的でした。そんな経験を通して「では、自分が街のためにできる事ってなんだろう?」って考えるようになりました。この経験が僕の政治に興味をもったきっかけであり、今の活動にもつながっています。
 
※神奈川県藤沢市とNPOの協働事業「被災地でつながろう 考えようサマープログラム2015」高校1〜3年の男女20人が参加した事前研修の後、被災地を訪問。活動報告会も開いた。
 

 
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7月10日に選挙権年齢が18歳以下に引き下げられてから初の国政選挙となる参議院議員選挙が行われるということで、政治家たちはもちろん多くの大人たちは躍起になって「選挙に行こう!」と呼びかけを行っています。実際、私たちの学校にも選挙啓発のポスターが貼ってあったり、横断幕が掲げられています。
でも、そんな光景に僕は違和感を覚えます。なんだか「投票に行くこと」だけが目的になっている気がするのです。本来の目的はそこではないはずです。若者が投票を通じて政治側に自分たちの「意思」を示すことが本来の目的なのではないでしょうか。その投票に主権者としての「意思」が無ければ、ただ「投票に行った」という事実だけが残り、結果として何の意味も成しません。せっかくの1票を無駄にしないために、普段より主権者としての意識を持つことが本当に必要なことなのではないでしょうか。現状は、この主権者としての意識を形成するためのプロセスが置き去りにされているように感じてなりません。この一年で「主権者教育」という言葉が各地で聞かれるようになりました。
 
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確かにこの文科省の調査結果からも分かるように、9割以上の高校で(高校3年制を対象に)主権者教育が行われています。しかし、現在、多くの学校で行われている主権者教育は、政治の仕組みを教えたり、模擬投票行うという取り組みにとどまっており、付け焼刃的な投票啓発活動にすぎないものです。そうではなく、日本の教育全体で本当の意味での主権者教育、もっと言うならば、自分が一人の市民としての役割を自覚するためのシティズンシップ教育(市民教育)が継続的に段階を経て行われていくべきだと僕は感じます。学校教育の現場も変わっていかなくてはならないのです。
 
(主権者教育(政治的教養の教育)実施状況調査について(概要)http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/06/14/1372377_03_1.pdf より)
 

まずは身近なところから

 
「でも政治って難しそうだし…」って感じる方、多いと思います。確かに国会で日々話し合われているTPPや安全保障、憲法改正などは絶対に大切なものですが、正直難しいものばかりです。だからこそまずは「自分の住む街」について調べてみてください。本でもいいですし、インターネットでもいいです。きっと街の歴史や町の良い所、悪いところなど今まで知らなかったことがたくさん分かるはずです。そして、次は「街が今後どうなっていって欲しいか」を考えてみてください。で、これがなんだって?これが「政治」です。日本には1700を超える市町村があり、それそれ特色があります。ではあなたの街ではその特色に合わせた政治が行われているでしょうか?調べてみて下さい。そして、周りの人と話してみてください。市議会の議事録を見てみてください。きっと国の政治に比べて分かりやすいはずです。だってそれは自分たちの街だから。まずは国じゃなくてもいいのです、まずは身近なところから「政治」に関わっていきましょう。
 

ただ選挙権年齢が引き下げられた年にしないために

 
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きっとこの2016年は「70年ぶりに選挙権年齢が引き下げられた年」として、今後何十年と語り継がれていくでしょう。では例えば、10年後、20年後、2016年を振り返った時にあの年は「ただ選挙権年齢が引き下げられた年」と言われる年にするのか、それとも選挙権年齢の引き下げをきっかけに「若者の社会参画が始まった年」にするのか。同じ1年ですが、そこには大きな違いがあります。当然、僕は後者を目指していきたいと思っています。そのためには、もちろん私たち若者も変わらないといけません。さらに、それだけではなくて政治側、大人たちも変わらないといけないのです。社会全体が変わって初めて「若者の社会参画」が実現すると僕は思います。そのために僕自身も高校を卒業した後も何らかの形で活動を続けていきたいと思っています。
 
民主主義の主役は行政でもなく、政治家でもなく、誰か一人のカリスマでもなく、紛れも無く私たち一人一人です。ぜひ主役としてこの文章をお読みいただいた皆さんと一緒に「民主主義」をつくっていければと思っています。

k.midorikawa