【前編】若いパワーを政治にぶつけよう!-台湾総統選挙と日本の18歳選挙権-

2016年7月6日

 
こんにちは。私は去年の3月から学校を1年休学し、台北の高校に留学していました。台湾ではこの前の1月に4年に1度の総統選挙がありました。日本とは少し違う台湾の選挙を肌で感じた感想とともに、選挙と若者の関わり方について考えてみます。
 
 

選挙は国民的大イベント

 
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台湾の選挙は国民的大イベントと言っても過言ではありません。CMや街宣車で各党のテーマソングが流れていたり、ラッピングバスが走っていたりします。政党ごとのテーマカラーも統一されていて、インパクトが強く、なにより派手です。
私は投票日前夜、ホストファミリーに連れられて候補者の最後の決起集会に行きました。私の住んでいる地域は昔から国民党支持の人が多く、私のホストファミリーのおばあちゃんもその一人です。そのため地域の人同士で集まって集会に行きました。台湾の選挙は日本の選挙のような堅さがあまりありません。若い人からお年寄りまで、支持する政党の集会ではみんな一緒になって声を出して、旗を振ります。わかりやすく言えば、年齢層が少し高い野外コンサートといったところでしょうか。日本とはあまりに違う雰囲気に、カルチャーショックを受けたのは言うまでもありません。ステージがあって、電光掲示板があって、ステージの上では歌を歌っているし、お弁当やカイロ、旗までもらえる、まるでコンサートみたいで楽しい!これが私の率直な感想です。笑
そこに集まる人の多さに、改めて選挙への熱気を肌で感じた時間でした。
 

なぜ今回の選挙が注目されているの?

 
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それはこれまで8年間政権を握ってきた国民党から野党の民進党に政権交代する可能性が大きいこと、それによって初の女性総統が生まれるかもしれないということが主な理由です。結果的に今回、日本の国会議員にあたる立法委員の選挙では民進党が勝利し、総統選も民進党の蔡英文の勝利によって幕を閉じました。
民進党が政権を8年ぶりに政権奪還したこと、元は国民党支持者が多い地域でも多く票を獲得したことで、今までの政治の流れが変わるのではという期待が高まりました。また、私の周りの女の子たちは女性総統誕生にとても喜んでいます。
台湾において、政策の中でも中国との関係は大きな争点になります。
1911年の革命で清朝が滅んだ後、中華民国が建国され、国民党が国を治めることになります。しかし、次第に共産党との対立が激化、内戦で敗れた国民党が台湾に逃げ「臨時政府」を置きました。このような歴史的背景があるため、台湾国内でも台湾が独立国家なのか否か、これから中国とどう付き合っていくべきかというのは人によって考えが違います。アイデンティティに関わる繊細な問題に対して声を上げる貴重な機会だからこそ、台湾の人にとって選挙は一大イベントなのです。
 

台湾の選挙のしくみ

 
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台湾では20歳から投票権を手にします。しかし本籍地で、かつ投票日にしか投票することができません。そのため、普段は台北に住んでいる人たちも選挙の前には一斉に故郷に帰省します。外国に留学している人の中には、わざわざ飛行機で選挙にあわせて帰ってくる人まで!台湾の学生の多くは今回の選挙が期末試験の時期とかぶっていましたが、私の大学生の友人は、大変だと言いながら実家へ帰っていきました。このほかにも、大学生向けの帰省バスが運行されたり、各党が実家に帰って投票しようと呼びかけたりと、若者の選挙参加を促す活動が行われていました。若者をメインに選挙に巻き込む活動はこれから日本でも増えていきそうですが、台湾での取り組みにはヒントがあるのかもしれません。
 
実際に台湾の選挙の様子を見ていると、台湾の若い人たちは日本に比べて政治に対して積極的でオープンな印象を受けます。Facebookで支持する人の記事をシェアしたり、政党の集会に行ったりする人もいます。台湾は複雑な歴史を持ち、その問題が今も中国や諸外国との関係に影響を及ぼしています。それだけに台湾の多くの若者は「自分は台湾人である」という思いをはっきりと持っています。台湾の選挙からエネルギーを感じるのは、自分たちの声を政治に届かせるため、未来をつくるために一票を投じる若い人がいるからだと感じました。
 
このコラムでは主に台湾の選挙について知っていただけたかと思います。後半は選挙後の台湾と若者の様子についてさらに詳しくお伝えします。お楽しみに!

ひよこ豆

岐阜生まれ岐阜育ちの純岐阜っ子。「可愛いね」より「変わってるね」と言われたい。座右の銘は「be the first penguin」