ヤバいまち、津和野を盛り上げる「グローカルラボ」 – 鈴木元太

2016年8月30日

こんにちは!鈴木元太です。
僕は今、津和野高校のグローカルラボという部活で活動しています。
 
突然ですが、みなさんは自分の住むまちが好きですか?
「いや、別に……」「早く都会に出たい」
自分の住むまちについてよく考えたことが無い方や、将来地元を出るからどうでもよいと考える方が多いと思います。でもちょっとまちに目を向けてみると、今まで知らなかった意外なまちの魅力に気付けることがあります。
 

ヤバいまち、津和野

 
僕が住んでいる津和野町は島根にあります。島根は鳥取とよく間違えられますし、何もイメージが湧かない方が多いと思います。そんな島根ですが出雲大社や松江市がある県東部には人が集まっています。一方、西部は東部に比べ観光客が少なく、認知度が低いです。そんな「何もない」県の「何もない」地方に津和野はあります。
津和野にはマックはもちろんありませんし、スタバなんて都会へ出たときに行く観光スポットです。16時の汽車を逃したら19時の便まで待たなければなりません。
 
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津和野は過疎化が深刻です。
2040年には人口が7800人から4000人まで減少するといわれており、老年人口は半数に迫っています。全国にある約1800市区町村のうち消滅する可能性が49番目に高い、とにかくヤバいまちです。
 

グローカルラボって?

 
そんな津和野で、僕はグローカルラボという部活をしています。グローカルラボは運動部でも文化部でもない第三の部活、「地域系部活動」で、まちに入り込んで活動することで津和野ことをもっと知り、それを踏まえて自分たちのアイデアでまちに向けて活動しています。
グローカルラボは今年新しく始まったばかりなのでまだ発展途上ですが、今回はツコウ農園について紹介します。
 

みんなで「つくる」

 
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ツコウ農園とは、地域の方の協力をいただきながら一緒に作り上げる、グローカルラボが運営する農園です。はじめは何も手入れされていない更地の状態で、0からのスタートでした。育て方は地域の農家の方に教えていただき、地域の苗屋さんと一緒に作業しました。
 
こうして地域の方と協力しながら育てた野菜は地元の方とのBBQで食べ、たくさん収穫できたズッキーニは地域のお祭りで販売した「やきとりズッキーニ」に使用しました。また、津和野の特産品、まめ茶の原料であるカワラケツメイを収穫し、まめ茶を栽培している方とコラボして高校の文化祭でまめ茶を販売する予定です。
このように、ツコウ農園での活動を通して地域の方と交流しました。また、お祭りでの販売は僕たちが作った野菜をたくさんの方に食べてほしいという想いから実現したもので、企画から準備、会計まで高校生が主体となって活動しました。顧問の先生には高校生ができない手続きをしていただいたり、高校生の求めに応じてアドバイスをいただいたりと、必要なときのみ大人のサポートをしていただきました。
 

部活だから、できること

 
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グローカルラボの一番の特徴は「自分たちのアイデアでまちのために行動できる」という点です。一般的な部活動は顧問や部長の指示に従って練習することが多いですが、グローカルラボではメンバー全員で活動内容を話し合い、活動しています。最大限の自由が確保されているので、自由な発想で高校生ならではのアイデアを実現することができます。また、毎回の活動後に振り返る機会を作っているのでメンバーで出た学びを共有し、次の活動に生かすことができています。
 
津和野にはグローカルラボが活動できる恵まれた環境があります。
顧問の先生やコーディネーターをはじめとする大人の方は、広い人脈を生かして地域の方と高校生をつないでくださったり、高校生の要望に応じて必要な情報を提供してくださったりと、高校生が活動するためのサポートをしていただいています。
地域の方は優しい方が多く、僕たちが知らない津和野を教えてくれます
グローカルラボのメンバーはいろんな地域から来ているため、いろいろな視点で意見を出すことができ、それぞれが得意なことを活かして活動しています。
そして活動のフィールドがすぐそこにあるので、小さなことからでもすぐ活動に移すことができます。
このように、津和野だからこそ、チームだからこそできることにグローカルラボでは取り組んでいます。
 

自分たちだから、できることを

 
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今まで4か月活動してきて、見えていなかった津和野の魅力や課題を発見することができました。そして、これからは自分たち高校生に何ができるかを考え、行動していこうと思っています。例えば、津和野の魅力やそもそも津和野を知らない人が多いという現状に対して高校生の視点から魅力をSNSで発信したり、高校生が友達と先生としか話せていないという現状に対して地域の方や観光客と高校生が交流できる空間を作ったり、地元のおいしい食材を知らない高校生に対して津和野の食材を使った料理教室を開催して参加できるようにしたり、自分が感じる津和野の現状と自分が得意なことを組み合わせて、みんなで話し合って、チームで活動していきたいと考えています。
 

まちは、案外深くて面白い

 
自分の住むまちに無関心な10代がとても多いです。その理由は、ほかの地域についてよく知らないからだと思います。ほかの地域について、僕らが普段生活していて入ってくる情報の多くはモノやヒトが集まり、便利な都会の姿です。それだけでは地方の10代が便利な都会にあこがれて自分のまちを出たいと思い、都会に住む10代が不便な地方には住みたくないと考えるのは自然なことだと思います。
まちは一番身近な社会なので、10代にとっては将来を考えるにあたってまちを知ることはとても重要なことだと思います。さらには社会への関心も、若者の地域離れの解決も、政治への関心も、すべてまちへの関心から始まると思います。
でも、まちを知るのにはメディアの情報や、観光では不十分だと思います。なぜならまちは建物によって成り立っているのではなく、ヒトによって成り立っているからです。実際に住んだからこそわかることは多いので複数のまちに住むことが理想ですが、10代にとっては引っ越すことはとても難しいです。
では、まちに興味を持つにはどのようにすればよいのでしょうか。
僕は、その第一歩は「ほかの地域に住む同年代との交流」だと思います。自分が当たり前に使っていた言葉が方言であることを知るなど、自分のまちでは当たり前のことでもほかの地域の人から見るとそのまちならではの特徴だということに気付くことがよくあります。同世代との交流だと打ち解けやすく、よりリアルに感じることができます。
 
まちの本当の魅力は便利さだけではないはずです。そのまちが今に至るまでの歴史があって、受け継がれてきた伝統があって、文化があります。その魅力はまちによって違いますが、それは自分たちで見つけるものであると思います。グローカルラボでは部活として、まちについて考えています。
 
魅力なんてちょっと考えただけじゃ見つかりませんが、普段からちょっとでも意識して生活するだけで、今まで気付かなかったまちの一面を発見することができるのではないのでしょうか。