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「救える命を増やしたい」Bystanderプロジェクト-橋本陸(18)

2016年7月14日

Bystanderプロジェクトという活動を東北で行っています。高校3年生の橋本陸です。
Bystanderプロジェクトは、専門家の方にご指導いただきながら心肺蘇生法や応急手当の普及活動を主に行っています。
☞この記事は2015年12月に公開された記事を再掲したものです。
 

Bystanderって?助かる命を救える街を目指して。

 
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心肺蘇生法と聞いて、あなたは何を思いますか?
自分には関係ないと思っていませんか?
心臓が突然止まって死に至る、心臓突然死で年間約5万人もの方が命を落としていると言われています。いつ、だれが、どこで倒れるかわからない、それが現状です。
 
私のBystanderプロジェクトでは、万が一大切な人が倒れたとき、一番そばに居合わせた私たち「Bystander」が心肺蘇生法をできるよう、講習会などを開催しています。
 
私がプロジェクト立ち上げを決意したきっかけは、2つあります。
1つ目は東日本大震災です。当時私は中学1年生で、大船渡中学校に通っていました。
地震の直後、大船渡中学校には多くの方が避難してきました。その中にはケガをされた方や、津波で濡れたことが原因で低体温症を起こし、ぐったり倒れている方もいましたが、当時の私にはどうすることもできず、とてももどかしい思いをしました。
 
2つ目は、それから2年後、同居していた祖母が急性心筋梗塞で亡くなったことです。
急性心筋梗塞は、心臓の血管が詰まり、心筋が壊死してしまう病気です。激しい胸痛や寒気など、が自覚症状としてあらわれることが多いといわれています。私は祖母のすぐそばにいながら、これらのシグナルに気が付くことはできず、ついに目の前で意識を失い、心肺停止状態になったのです。それでも私は、なぜ心肺停止状態になったのかがわからず、救急車が来るまでただ必死に心肺蘇生法を実施するしかありませんでした。もう少し知識があれば、救えた命かもしれない。そんな実体験がBystanderプロジェクトを立ち上げるきっかけとなりました。
 

備えあれば憂いなし?橋本くんのカバンの中身

 
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災害や急病は予防することが一番ですが、残念ながら0%にすることはできません。そんな万が一の場合に備えて、私は常に緊急七つ道具を持ち歩いています。
 
黒色の軍用メディックポーチの中には、止血のための三角巾、ガーゼ、保温のためのアルミシート、心肺蘇生で使うフェイスシールドなど、最低限の救急用品が入っています。これまで何度か怪我、急病に居合わせ、対処した経験から中身をセレクトしています。
私が中学生の頃、祖母が倒れた時もスクールザックに入れていた心肺蘇生フェイスシールドを実際に使用しました。普段は整容点検前に爪切りを貸してほしいというのが一番多いですが(笑)
他にも自らを感染から守るためのニトリルグローブ、事故防止のための発光ライトなども装備しています。救助する人が救助される人になるのは、一番いけないことですので・・・
みなさんも必要性を感じた防災グッズ等があれば、一つ普段のカバンに忍ばせてみてはいかがでしょうか?いざというとき、有ると無いとでは違いますよ。使う機会がなかったとしても、日頃の防災意識の向上につながると思います。
 

受講者と講師で作る、講習会

 
長時間の講習はつらい。飽きてしまう。こんな症状の時はどうしたらいいの?
私が開催する講習会には、厳密に決まったスタイルはありません。なので毎回講習の内容が異なりますし、受講者からのニーズを考慮して、その講習会の内容を組み立てるようにしています。例えば、津波の恐れがある地域では、低体温症の場合の保温の方法を、お正月前には、餅が詰まった場合の応急手当てを取り入れることもあります。
 
活動を続ける中で、一方的に指導するのではなく、受講者の実体験などの意見交換を取り入れることで、私自身も改めて気付かされることも少なくありません。プログラムに関しては専門家と連絡を取り合い、指導内容などの質の担保に努めています。
 
 

小学生でも、心肺蘇生法はできます

 
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Bystanderプロジェクトでは、小学生低学年から応急手当講習を受講してほしいと考えています。
プロジェクトを始めた当初、私は同級生や後輩を講習会に誘いました。しかしほとんどに人に断られてしまいました。その理由は部活や勉強です。中高生になると、他人があまりやらないことをするのは恥ずかしいというような風潮があるのは事実です。それならもっと小さい時に教えたらいいのではないか?そんな思いで始めたのが小学生向け講習会です。
 
小学生でもわかりやすいような映像やDVDを使い、心肺蘇生法や止血法、搬送法について練習をしていきます。子どもたちは積極的に取り組んでくれましたし、実技の練習でもしっかりとした心肺蘇生法ができていました。終わった後は「楽しかった!」という声も。大人向け講習会との違いは、完璧な応急手当を求めない点です。
講習を通して子どもたちに何より伝えたいことは、命の大切さです。困っている人に手を差し伸べる勇気を持ってほしいと思っています。そして中高生になってからも講習会に足を運んでくれればと期待しています。

りく(寄稿者)

高校1年から資格取得に没頭。それと並行して民間医療用ヘリコプターでのボランティアを開始。現在ではBystanderプロジェクトを立ち上げ、小学生からお年寄りまで幅広く緊急時の対応を普及する。来年度から弘前医療福祉大学短期大学部救急救命学科へ進学予定。