今こそ考える「18歳選挙権」-彦根東高校 藤岡奈々(17)

2016年7月7日

こんにちは。私は滋賀県彦根市にある彦根東高校新聞部の2年生藤岡奈々です。彦根東高校は今年で創立140周年を迎えるなどの長い伝統を誇ります。また文武両道を目指す生徒も多く、部活動も盛んです。
 
新聞部も1948年に「彦根東高校新聞」を創刊し、去年の10月号で450号を迎えました。ここではその450号の特集、今年の夏の参議院選挙から適用される「18歳選挙権」についての私の考え、実際新聞部がどのようなことを行ったかについて述べたいと思います。
☞この記事は2016年1月1日に公開された記事を再掲したものです。
 

「18歳選挙権」に対する率直な思い

 
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この特集を始めた当初の私は「18歳選挙権」に賛成でも反対でもありませんでした。確かに選挙年齢を引き下げることで投票率は上がり、政治家も若者のための政策を考えてくれるかもしれない。でも、同時に高校生の段階で日本の政治について考えることができるのか、自分の一票の重みも分からないまま投票していいのだろうか。自分が投票している姿がイメージできず、素直に受け入れられないでいました。しかし生徒、教師、保護者を対象にアンケートをとり、滋賀県選 挙管理委員会や教育委員会の担当者、校長先生などにも取材を行い「18歳選挙権」への理解を深めることができたので、私の中で考えが変わり、今では賛成です。
 

取材を通して見えてきた、「何もわからない」まま投票することへの不安

 
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ではアンケートや取材を通して分かったことを紹介していきます。まず「選挙権年齢の引き下げに賛成か反対か」の質問で「賛成」は58%と約6割で賛否は、 拮抗していました。生徒の声は「若者の政治への関心が強くなって良い」「まだ高校生たちには正しく判断する能力がない」などの意見があり共感できるものば かりでした。また全学年を対象にした「選挙権を持った時に選挙に行きますか」という質問では学年が上がるごとに「行く」と答えた人が減少しました。それに 反して「分からない」と答える人が増加し、主な理由として「自分に判断できるかわからない」「政治のことを何もわからないから」と自分がいざ選挙権を持った時に政治のことに関して無知な状態のまま、投票することに不安を感じる生徒が多いのではないかと感じました。
 
少し話題は変わりますが、皆さんは同学年でも誕生日が投票日の翌日を境に選挙権の有無が変わることをご存知でしょうか。私たちはまず、投票の有無が分かれ る現在2年生の全クラスを対象に、投票日を7月10日と仮定した場合に何人が選挙権を持つかを調査しました。すると316人中101人と、約3分の1の生 徒が選挙権を持つことが分かりました。またアンケートでは「知っている」人の割合は1年生が31%、2年生が67%、3年生が34%と、2年生が他の学年 に比べて約2倍以上高かったのです。2年生は自分たちの代から選挙権の有無が変わるため、他の学年よりも関心が高いのかもしれません。
 
そんな生徒たちを一番近くで見守る保護者は「18歳選挙権」をどのように考えているのでしょうか。まず「高齢化が進む中、若者がもっとしっかりしないと日 本は支えていけなくなる」と積極的に政治への参加を求める意見、次に「自分自身で生活を支えたことの無い子どもたちに正しい判断をするのは難しい」と保護 者だからこそ自分の子供に正しい判断ができるのか不安に思う意見もありました。ちなみに、実際に「自分の子どもに選挙に行くように言うか」との質問では 「はい」が全体の96%を占めていました。ほとんどの保護者は私たちに投票に行ってほしいと感じているそうです。
このように「18歳選挙権」という一つの事柄でも実に様々な捉え方があることに気づきました。新聞を作成するときには、自分の視野が広がっていることを実感しました。そしてこの特集は私個人にとっても、新聞部としても大きな意味を持っています。
 

これからの新聞部を考える

 
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高校生が本格的に政治に参加できるようになったことで新聞部が今まで以上に意識しなければならないことがあります。それは「中立性」です。18歳に選挙権 が与えられることで、読者に情報を発信する役割を持つ新聞がこのことに触れないわけにはいきません。私たちには、これから選挙権を持つ高校生に対して投票 がいかに大切なことかを伝える責務があります。そのため候補者などの選挙に関する情報を取り上げる際には「中立性」こそが大切だと思います。これを意識して読者が新聞にどういう情報を求めているかを考えなければならないと思います。
 
実際、高校生はまだ選挙に関して知らないことばかりです。時間が無くて行けなかったり、自分の判断に自信が持てなかったりして不安の方が大きいです。実際 私もそうです。5月生まれなので、必ず選挙権を得ます。今年の夏には自分が投票していると思うと全然実感がわきません。ですが必ず投票する意義がありま す。いずれこの国のことを考えることになります。だからこれからは日本で何が起きているかを知り、客観的に物事を考えたいと考えています。