こんにちは。前半に引き続き、若いパワーを政治にぶつけよう!-台湾総統選挙と日本の18歳選挙権-と題して台湾の総統選挙の様子をお伝えします。後半のテーマは、ずばり!「若者と政治」です!いよいよ本題の若者と選挙の関わり方について考えていきたいと思います。
台湾総統選挙、その結果は…
すでにニュースなどで知っている人も多いかもしれません。結果はこれまで野党だった民進党が圧勝し、政権交代が行われ、蔡英文氏が台湾初の女性総統になることが決まりました。大きな注目を集め、歴史が動くと言われていたこの選挙ですが、投票率は66.27%です。この数字をあなたは高いと感じますか?それとも低いと感じるでしょうか?これまで台湾の選挙の投票率は70%~80%と非常に高い水準だったため、今回の投票率は最も低いものとなりました。今回の選挙は事前の世論調査の時点で、民進党の蔡英文氏が当選は確実視されるほど、圧倒的な支持を得ており、その結果国民党支持者の投票意欲が低くなり、投票に行かない人が増えたとみられています。さらに、近年は若者を中心に投票率が低下しています。台湾も日本と同じ問題を抱えていると言えるでしょう。
台湾の若者は政治に関心がない…?
じゃあ本当に台湾の若者も選挙に興味がないのか?ということで、クラスメイトや友達に聞いてみました。私の周りの友達の多くが今回の選挙について注目しており、特に印象的だったのは、多くの友達が選挙に関することをFacebookやInstagramに投稿していたことです。「選挙の結果を見るために早くご飯食べて、テレビの前で準備してる!」とポストしている子や、支持する候補者の記事をシェアして投票に行こう!と呼びかける人もいました。これらはインターネットが若者と政治の距離をより近くしていると私が感じた瞬間です。
そのようなことを通して、台湾人の同世代の政治への関心の高さを感じました。でも将来投票に行くか聞いてみると「分からない」と答える人もたくさん。期限前投票がなく、本籍地でしか投票できない制度がめんどくさいと感じるし、興味がないというのがその理由だそうです。台湾では若者の関心を投票につなげるための取り組みが、これからさらに重要になっていきそうです。
政治の世界に新たな風を吹き込む若い世代
総統選挙と一緒に行われた、日本の国会議員にあたる立法委員の選挙で目立ったのは、若い候補の存在です。選挙の結果、民進党、国民党に続く第三極になったのは時代力量という若者が中心の政党でした。この時代力量という党は、台湾で2014年に起こった「ひまわり学生運動」をきっかけにできた政党で、今回が初めての選挙です。結果は多くの若者の支持を集め、3番目に多い5議席を獲得しました。
それ以外の党でも、対立するベテラン議員を破って当選した若い候補が出るなど、「政治」という慣例が多い世界に、今までとは違う風を吹き込む若い世代の台頭は、投票する若者にとって、感心を持つきっかけになるとともに、共感を集めています。
若者のパワーが今までの日本を変える?!
日本は今まで、若者が政治や日本について考えて、人前で話すのがタブーというような雰囲気があったように思います。政治について話せば、友達から「意識高い系」と冷やかされたり、大人から「若者のくせに調子に乗っている」と言われたり…。なんとなく若者は政治に触れてはいけない空気があったのではないでしょうか。
しかし私は政治や選挙についてもっと知りたい、考えたい、と思っています。大人はもっと私たちを巻き込んで政治や日本についての話をしてほしい。政治家の人たちには私たち若者にもっと積極的に訴えかけてほしい。大人だけの政治ではなく、私たちのものとして考えたい。そう考えています。
私たちの世代が選挙に参加するということは、日本の今までの空気を変え、日本人と政治の関わり方を変えるパワーを秘めていると思います。
実はこのコラムを書くまで、私にとって日本の18歳選挙権はどこか実感がわかないものでした。でも、台湾で総統選挙について知れば知るほど政治は面白いと気づいたし、なにより台湾の若者の選挙に対する熱量に引き込まれていきました。5月には蔡英文氏が総統に就任し、期待と注目を集めています。
日本の選挙って、すごくとっつきにくいです。候補者はおじさんおばさんが多いし、政治って聞くとクリーンなイメージはないし、言っていることもなんか私たちの生活に繋がってこない。若者は入る隙なさそう、私たちの声って届くのかな?…政治や選挙に対してそんなイメージがありました。
でも台湾の選挙は、候補者の中にも若い人や女性も多くて、若い人たちも積極的にSNSで情報を得ていました。日本よりも政治に対して前向きで、自分の1票に期待を込めて投票しているのが伝わってきました。
今回の選挙は選挙権が18歳に引き下がって初めての選挙なのでもちろん社会全体の注目度は高いし、私たちの中でも話題になります。でもこれからも選挙はあるので、一過性のブームにしないことが大事なのではないでしょうか。私たちだけじゃなく、弟や妹、自分の子供や孫が、若い人だって政治に参加する意味はあるんだと、希望をもって投票できるような未来の日本であってほしいです。
今年の夏、社会のオトナに向けて、「私たちも考えているんだよ!こう思っているんだよ!」と発信していくために、私は自分の一票を投じたいと思います。